“自分自身が無知であることを知っている人間は、自分自身が無知であることを知らない人間より賢い”
これは、哲学の祖と呼ばれている古代ギリシャの哲学者、ソクラテスの名言です。ソクラテスは、初めて人間の真理に焦点をあてた哲学を生み出しました。
この記事では、そんなソクラテスの名言とその意味、彼の考え方などについて解説しました。
ソクラテスの名言
この頃の古代ギリシャは民主政が浸透し、さまざまな哲学者が活躍した時代でもありました。そんな時に現れたのがソクラテスです。彼は次の名言を残しました。
“自分自身が無知であることを知っている人間は、自分自身が無知であることを知らない人間より賢い。”
まずは、ソクラテスがどんな人物だったのか、彼の考え方を知っておきましょう。
いやいや、私はすぐにでも意味を知りたいという方はこちらに進んで下さい。⇨ ソクラテスの名言の意味
ソクラテスとはどんな人
古代ギリシャの哲学者。弟子にプラトン、アリストテレス等がいる。
紀元前469年頃、石工師ソプロニスコスと助産婦パイナレテとの間に生まれ、紀元前399年4月27日に死去。
けっきょく何をした人
ソクラテスの考え方
ソクラテスは、この3つの考え方を基盤としています。
- 無知の知
- 産婆術
- 知徳合一
無知の知
無知の知とは、自分が何も知らないことを知ってる人が賢いという意味です。ソクラテスは、人はすべての真理を知ることは出来ない、人は無知だということを知るべきであると考えました。
産婆術
産婆術とは、対話によって相手に間違いを気づかせる手法を言います。知識を授けるのではなく、相手に産ませるから産婆術と呼ばれました。
具体的には、相手を説得するのではなく、質問を繰り返しその矛盾を指摘します。すると、相手は自分で自分の説明の間違いに気がつき、真理を理解するという算段です。
知徳合一
知徳合一とは、人間は善を重ねることで魂をより良くすることができるという考え方です。
つまり、徳を行っている人の人生は幸福で、徳を行うには、モノの善し悪しを判断する「知」が必要であると言っています。
ソクラテスは、悪いことをすれば徳から離れ、不幸が大きくなると考えました。ここから「徳は知である」という結論が導き出され、「知徳合一」になったようです。
ソクラテスの生き方
ソクラテスが青年だった時は、アテナイ(現アテネ)の民主制が花開き、政治もひじょうに安定していた時代でした。
この時に自然科学や数学を学んだとされ、その経験がのちのソクラテスの思考を深めたと言われています。
40歳のころには、アテナイとスパルタの間にペロポネソス戦争が起こりました。ソクラテスは50歳になるまでに、3回も従軍しているんですよ。
そして、ソクラテスの人生は、このあたりから大きく変化していきます。弟子の一人がアポロン神殿を訪れ、巫女さんにある頼み事をしたんです。
それがこちら。
「ソクラテス以上の賢者がこの世にいるか、神々に聞いて欲しい」
この質問に対し巫女は、「ソクラテス以上の賢者は一人もいない」と答えたんだそうです。
弟子は帰ってさっそく、それをソクラテスに伝えました。
しかしソクラテスは、自分を賢者だと思ったことがなかったんですね。だから、自分が賢者でないことを証明するために、問答の旅に出ました。旅と言っても、アテナイの中での話ですが。
ソクラテスはこう考えたんです。
- 世間で賢者と言われている評判の政治家や詩人達に会う
- 彼らに、死後の世界の真理について問答する
- これを繰り返せば、自分以上の賢者が見つかる
死後の世界なんて、誰も知る由がないことです。でも質問に答えたすべての人が、知らないはずのことをいかにも知ってるふうに語ったんです。
それを見たソクラテスは悟りました。その時に、この名言が生まれたんです。
しかし、アテナイでソクラテスが賢者であるという噂が広がると同時に、無知を指摘された政治家たちは面白くありませんでした。それどころか、ソクラテスを恨むものまで出始めました。
また、アテナイの若者がソクラテスの問答の真似をして、二次被害まで生まれました。この犠牲者もソクラテスを恨むこととなります。
さらに、かつての教え子でクリティアスという人物がいましたが、彼もソクラテスの敵に回ります。昔、ソクラテスにこっ酷く罵られた経験があるため、それを逆恨みし、ずっと仕返しを狙っていました。
やがてクリアティスは三十執政の一人になり権力を握ると、「言葉の技術を教うるを禁ず」という法律を定めソクラテスを陥れたのです。
以上のことからソクラテスは、この2つの罪で裁判にかけられ死刑が決定することになります。
- 国家が信じる神々を信仰せず別の神々を信仰した
- アテナイの若者を堕落させた
もちろん亡命することは可能でしたが、ソクラテスは自説を曲げること無く自分の信念を貫いたといいます。それは「善く生きる」という知徳合一に基づいた信念です。
ソクラテスは自ら毒の杯を飲み干し、命を絶ちました。
ちなみにソクラテスは、どんな人に教えを請われても、決して報酬をもらおうとはしませんでした。ですから、妻であるクサンチッペから、かなり厳しい仕打ちを受けたようです。
そりゃそうですよね~ヾ(;´▽`A“
妻としては、夫が家に一円もお金を入れてくれないわけですから。普通は離婚モノです。
おそらくここでも、知徳合一の考えが活きているのでしょう。
弟子には、カイレフォン、クリトン、プラトン、アリスティッポス、アンティステネス、エウクレイデス、クセノポン、アルキビアデス、クリティアスがいます。
ソクラテスの名言の意味とは?
”自分自身が無知であることを知っている人間は、自分自身が無知であることを知らない人間より賢い。“
意味はこの言葉通りです。
他人の無知を指摘することは簡単だけれど、人間は世界のすべてを知ることは出来ないと、ソクラテスは考えたわけです。
今までの経験から、ソクラテスは自分の知識は決して完璧でない、それどころか知らないことのほうが多いのではないかということを認識していました。
たとえば、よく使われる例えとして死後の世界。
なのに、それをいかにも知ってるかのように振る舞うのは本当の賢者ではない。逆に知らないと言っている自分の方がまだ賢いという結論を導き出しました。
この名言を自分に役立てるには?
個人的には、何に対してでも応用できると思っています。
特に代表的なのが、この2つ。
- 知識
- 人
知識
知識に関しては、あなたのご想像のとおりです。それがたとえ自分の得意な分野でも、自分はまだ知らないことのほうが多いんだという心構えをもつことで、新しい知識を取り込みやすくなります。
また、すでに知ってる知識に対しても、自分がそれをどこまで理解してるのかを問いかけてみるのもいいでしょう。これを繰り返すことで、あなたの知識力はかなり上がることと思います。
人
次に人に関してですが、妻・夫など自分のいちばん身近な人を考えてみましょう。かりに40年くらい一緒に連れ添った間柄でも、お互い知らないことのほうがまだまだ多いのではないでしょうか。
おわりに
ソクラテスの名言は、今から2400年も前に生まれました。その頃から私たち人間は、この程度の思考力ならもっていたわけです。
人間が凄いのか、ソクラテスが凄いのか?
おそらく両方が凄いんでしょうね( ´ ▽ ` )ノ
コメント大募集!( ´ ▽ ` )ノ